PVケーブルは蓄電所に使えるか?2025年11月の電技解釈改正と60sqの上限
結論:条件付きで使えるようになった
2025年11月20日に施行された電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)の改正により、蓄電所においてもPVケーブル(太陽電池発電設備用直流ケーブル)を使用できるようになりました。
ただし無条件ではありません。使用電圧が直流1,500V以下であること、導体の断面積が60mm²以下であること、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じた場所であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。
重要なのは、この改正以前は電技不適合だったという点です。系統用蓄電池の案件が急増している一方で、この線引きはまだ十分に知られていません。
なぜ改正前は使えなかったのか
電圧の種別として、直流は750Vを超え7,000V以下が「高圧」に区分されます。つまりDC1500V系の直流回路は、すべて高圧直流にあたります。
電技解釈第10条第1項は、高圧電路の電線には原則として電気的遮蔽層(金属遮蔽)を求めています。しかしPVケーブルに金属遮蔽層はありません。従来、この例外を認めていたのが第46条で、対象は「太陽電池発電所」に限られていました。
したがって、同じDC1500Vでも蓄電所でPVケーブルを使えば電技不適合となる——これが従来の壁でした。
2025年11月20日の改正で何が変わったか
今回の改正で第46条に第2項が新設され、次の趣旨が定められました。発電所・蓄電所・変電所またはこれに準ずる場所であって、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じた場所に施設する、蓄電池に接続する高圧の直流電路の電線には、第10条第1項にかかわらず、第46条第1項各号に適合する太陽電池発電設備用直流ケーブルを使用することができる、というものです。
あわせて需要場所側についても第154条の2が新設されました。条名自体も「太陽電池発電所等の電線等の施設」から「太陽電池発電設備用直流ケーブルの施設」へ改められています。対象が太陽光に限られなくなったことが、条名からも読み取れます。
背景として、経済産業省の審議会資料には、蓄電池の導入拡大にともない太陽電池発電所以外の場所でもPVケーブルを使用できるかという問合せが寄せられていた旨が記されています。
使用できる条件と、60sqという上限
第46条第2項が引用している第1項各号の条件のうち、設計時に効いてくるのは次の点です。
- 使用電圧が直流1,500V以下であること
- 導体は断面積60mm²以下の軟銅線、またはこれと同等以上の強さのものであること
- 絶縁体が架橋ポリオレフィン、架橋ポリエチレンまたはエチレンゴムであること
- 絶縁体の厚さが規定値以上であること(2〜14sq:0.7mm/14〜38sq:0.9mm/38〜60sq:1.0mm)
- 完成品でDC15,000VまたはAC6,500Vに5分間耐えること、低温(-40℃)試験・耐候性試験・ニードル貫通試験などに適合すること
- 取扱者以外の者が立ち入らないような措置が講じられていること
サイズ別の許容電流
60mm²という上限が、そのまま流せる電流の天井になります。気中暗渠・1条・基底温度40℃での許容電流の目安は次のとおりです。
なお60mm²は上限であって、蓄電所のケーブルが60sqに決まるという意味ではありません。サイズは回路の電流で決まります。電池ラック単位の出線であれば8sqや14sqで足りることも多く、集約してPCSへ向かう区間で38〜60sqになる、というように使い分けます。細い回路まで60sqで通せば銅量が何倍にもなるため、実務ではそのような設計にはなりません。
- PV-CC 単心:3.5sq=45A/5.5sq=60A/8sq=75A/14sq=105A/22sq=140A/38sq=200A/60sq=270A
- PV-CCD 2心より:14sq=93A/22sq=125A/38sq=175A/60sq=235A
実務上、配線をどう分けるか
60sqの上限があるため、蓄電所の直流側は一本のケーブルで通すのではなく、区間で使い分ける構成になります。
分散型のPCS(170〜200kW級)であれば直流電流は200A前後に収まるため、38〜60sqのPVケーブルで足ります。一方、集中型のPCS(700〜3,000kVA級)では直流電流の桁が変わるため、直流集電箱で並列に集約したうえで、そこから先は高圧CV・CVTなどの太い幹線を張ることになります。
この線引きを設計段階で誤ると、竣工前の検査で不適合が判明し、ケーブルの引き直しという大きな手戻りになります。
- 電池ラック/クラスタ → 直流集電箱:PVケーブル(60sq以下)
- 直流集電箱 → PCS(幹線):60sqを超えるため高圧CV・CVT
- PCS → 昇圧変圧器 → 系統:600V CVT/6600V CVT-EEなど
誤解に注意:遮蔽層がなければ何でも良いわけではない
今回の改正について「遮蔽層のないケーブルが解禁された」と説明されることがありますが、正確ではありません。
条文が認めているのは、あくまで「第46条第1項各号に適合する太陽電池発電設備用直流ケーブル」です。つまりJCS4517に基づくS-JET認証品など、第三者認証を受けたPVケーブルであることが前提になります。任意の輸入品やIEC規格品が一律に適合となったわけではありません。
調達の場面では、型式だけでなく認証の有無まで確認しておくことをおすすめします。
当店の対応
PVCABLE.JPで取り扱うPV-CC1500VケーブルはすべてJCS4517に基づくS-JET認証品です。3.5sq/4.0sq/5.5sqは在庫品として常時ご用意しています。
蓄電所の直流側で必要になる8sq/14sq/22sq/38sq/60sqについても、受注発注にて手配いたします。サイズと数量をお知らせいただければお見積りをお送りします。
60sqを超える幹線側については、600V CVT/6600V CVT-EEケーブルを受注発注・都度見積にて承っています。直流側と交流側をまとめてご相談いただけます。